Endless SHOCK 20th Anniversaryの感想

SMGOの理想を掲げているくせに周りは見えていない。いや、見ようとはしていない。
カンパニーの看板役者が理想を語れば周りは頷くしかない。カンパニーを引っ張る実力のある人間はそれだけで正しい。この世界では、実力は説得力と同等である。だからコウイチは正しいのだ。
しかし、タツヤも正しいことを言っているのには違いない。違いないが力がない。実力が足りない。だから傍若無人に振る舞っているように見えてしまうのだろう。
この物語のトリガーはタツヤであるが、狂者のように引き金を引きまくるのはコウイチなのだ。

正論と正論とのぶつけ合い。
冷静なコウイチと激切なタツヤ。。白と黒。このふたりは確かにライバルであるという説得力がタツヤにはあった。

この場面が第二幕の狼狽や悲嘆と言った堂々巡りの葛藤で苦しむタツヤとの対比をより際立たせる。

コウイチが死んだと知ったタツヤが子供のように泣くのだ。負けん気の強いタツヤが。それはまるで、あの屋上でコウイチにダンスを教えてくれとねだった頃のようだ。きっとコウイチには出来るダンスが自分にはうまく踊れずに、悔しくて悔しくてコッソリと涙を流したのではないかと容易に想像出来る。


上田竜也は舞台向きだと心底思う。
舞台向きの細やかで繊細な表情が多く見られるからだ。逆に言えばテレビ向けではないのだ。でも、それはそれで上田竜也の魅力なのだろう。その魅力をとことん突き詰めて欲しいと思う。





私の感想はここで終わっていた。

もう一度観劇の機会があることだし、他の役者や細かな感想はその後で記そうと考えていたからだ。

2020年2月28日より公演はストップをした。そしてその後、全公演の中止が発表された。
私の入った公演がくしくも千秋楽になってしまったことが残念で仕方ない。

またいつか、同じカンパニーで再演されることを願いつつ、未完のままの感想を綴っておこうと思う。

必ずいつか、会えると信じて。



※敬称略