中丸君の楽しい時間4の感想

まず始めに。
東京グローブ座ほど少し気になるという理由だけで足を運びやすい劇場はない。改めてそう思う。
このコロナ禍において客席数を半分にまで落としての販売にも関わらず当日券が手に入るのだから。少しの時間と根気を費やすことを厭わなければ。

中丸君の楽しい時間4と題されているように、中丸雄一のひとり舞台である。言わずもがな、あのKAT-TUNの中丸雄一だ。
日曜日の朝の情報番組の顔しか知らない人が観たら驚くであろう中丸雄一が満載の舞台であった。

舞台は楽屋から始まる。
「4」という数字を病的に忌み嫌う中丸がシリーズ4作目の舞台に立ちたくないと駄々をこねる。ファンの間では中丸が4を嫌っているということは周知の事実であってもファン以外には分からないために冒頭から置いてきぼり感を感じずにはいられない。ふうん、そんなに嫌いなんだ?程度なのだ。
ラストの「物事の見方を変えれば世界は変わる」「4から産まれたのだから」までの最初の伏線であるから最初は置いてきぼりでも構わない訳だが。

続いて披露される中丸得意のヒューマンビートボックスはさすがだ。素人目に見ても凄い。なにが凄いのか分からないが凄い。今までに中丸が披露してきたものと違う新しいビートを刻んでいたように記憶している。映像とHBBが相まって中丸雄一が大渋滞で、中丸自身はここで笑いを取ろうとしていないのは分かるのだが、あまりにも中丸雄一が中丸雄一過ぎて思わず笑えてきてしまった。

全体的に見ればこの「4」は前作に限りなく近い。あえてのオマージュなのか、1年半前と気になること、やりたいことに大幅な変化がなかったのか。「3」のクオリティがあまりにも高過ぎたために過剰な期待をしてしまっていたのかもしれない。

自身の出演番組のパロディーは終始キレキャラで、見ている方が疲れてしまう。ふざけ倒した内容の映像と中丸扮する共演者ふたりに突っ込みを入れ続けるのだが、あの家事の番組のパロディーならば適度に緩く進行するところも見てみたかった。ただ、中丸の女装は可愛い。

リミックスアルバム、アテレコ、場面転換も兼ねたマネージャーとのやり取りと、以前見た感が否めない。笑えるがインパクトが弱いというか。全くの新規向けに構成されたのであろうか。

構ってちゃんな影とのやり取りも少々テンポが悪い。間延びしてしまっているのだ。その後のダンスと映像と照明が素晴らしければ素晴らしいほど、影との追いかけっこは短い方がいい。それに中丸が覚醒するきっかけがスカジャンなのも納得がいかない。確かにバースデープレゼントにマネージャーから送られたものだがそんなキレるほど大切にしていたか?と。
前回の覚醒のきっかけである苔玉は毎朝のルーティンで欠かさず水を与え話し掛け、宇宙空間に放り出されたときに酸素を供給してくれた命の恩人だった。流れがまったく同様である以上、比較せずにはいられない。

映像、照明チームあっての舞台。勿論、中丸の思い描く世界観があってこその出来なのだが、両チームに助けられた舞台だったと思う。押し寄せる光と音はやはり劇場でしか体感できない貴重なものだ。終盤はかなりの体力を消耗していると思われるが、中丸らしい身体の使い方は最後まで美しい。
カーテンコールの最後の一瞬まで中丸雄一を堪能できる舞台であった。


※敬称略